“こうろぎ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
興梠33.3%
33.3%
蟋蟀33.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
五郎は福兵長と、興梠こうろぎという酒好きの二等兵曹をつれて、しばしば宿舎を抜け出て、酒宴しゅえんを開いた。アルミの食器に一号アルコールを半分ほど入れ、マッチで火をつける。
幻化 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
興梠こうろぎが言った。おそらく福は双剣石に泳ぎ着き、ここに戻らずに近くの岸へ上り、陸路を歩いて宿舎に戻ったんじゃないか。そんな想像を興梠は立てたが、五郎は黙っていた。へんな予感があった。
幻化 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
秋も段々に末になって伝馬町の牢屋でも板間の下でこうろぎが鳴いた。
黄八丈の小袖 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
路ばたの草叢では蟋蟀こうろぎが鳴き始めていた。家の前の柿の古樹の垂れさがった枝には、渋柿が、青いまゝに、大変大きくなっていた。その下の闇を通ると、実がコツ/\と頭を打った。
武装せる市街 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)