“きさきまち”の漢字の書き方と例文
語句割合
后町100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
廉子ときけば、后町きさきまち局々つぼねつぼね、あまたな寵姫ちょうきも、みなおしゅうとめのようにおそれはばかっているのである。それに内侍はいつか帝のおたねをやどしていた。
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
まことに、彼女のほこらしさにすれば、后町きさきまちろうを通うたびにも、常に独りで、こう思惟していたことでもあろうか。
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
後醍醐も、后町きさきまちのどの妃の局へもお通いは見えなかった。ひとりよる御殿おとどに悶々と御寝ぎょしもやすからぬご様子だった。
后町きさきまちのきらびやかな御簾みすごとの調度なども——すべてそのままお立退きのほかなかった。
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼は、次の日、家臣に命じて、倉の内から、女の欲しがりそうな物を種々さまざま取り出させて、宮中の后町きさきまちで開かれる“女御にょごいち”みたいに、通用門の内に棚をならべて彼女らを待ちうけていた。
みかどがよる御殿おとどにいることなく、栄子の几帳とばり后町きさきまち局々つぼねつぼねを、毎夜毎夜かえておいでであろうと、帰るところは自分のほかにないものときめていた。またそう信じていいだけの理由もある。