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いとびんやっこ
太郎はこう言って、
糸鬢奴の頭を仰向けながら自分もまた笑い出した。
色々
深え思召があるんだから、
私も大旦那のお
若え時分、まだ
糸鬢奴の時分から、甲州屋のお店へ出入りをしてえて、お
前さんとも古い馴染だが、今度来やアがった番頭ね、
彼奴が悪い奴なんだ
衣類を黒
紋附に限っていた
糸鬢奴の貞固は、
素より読書の人ではなかった。しかし書巻を
尊崇して、
提挈をその
中に求めていたことを思えば、留守居中
稀有の人物であったのを知ることが出来る。