大難だいなん)” の例文
そこで、わたくし心配しんぱいするのは、義侠をとこぎ大佐閣下たいさかつかは、吾等われら大難だいなんたすけやうとして、御自身ごじしん危險きけんをおまねきになるやうことはあるまいか。
ひとりい、ひとり答えて、はては当面とうめん大難だいなんにあたまも惑乱わくらんして、ぼうぜんと、そこに、うでぐみのまま立ちすくんでしまったのである。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
此方こちら入違いりちがって祖五郎の跡を追掛おいかけて、姉のお竹が忠平を連れてまいるという、行違ゆきちがいに相成り、お竹が大難だいなんに出合いまするお話に移ります。
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
それでもあなたは一御主人ごしゆじんさまにりて釆配さいはいをおとりなさらずはかなふまじ、いままでのやうなおらく御身分ごみぶんではいらつしやらぬはづおさへられて、さればまこと大難だいなんひたるおぼしめせ。
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
人智じんちつくしてのちはからざる大難だいなんにあふは因果いんぐわのしからしむる処ならんか。人にははかりしりがたし。人家の雪頽なだれにも家をつぶせし事人の死たるなどあまた見聞みきゝしたれども、さのみはとてしるさず。
「其のかはり女にはお産といふ大難だいなんがあるぢやありませんか。」
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
歸さず是非お附合つきあひなされよと無理に引留ひきとめまだ日も高ければ夕刻ゆふこく迄には寛々ゆる/\としても歸らるゝなり決して御迷惑ごめいわくは掛ませぬといやがる千太郎のひきそでひき萬八の棧橋さんばし繋合もあひたる家根船へ漸々やう/\にして乘込のりこませり是ぞ千太郎と久八が大難だいなんもとゐとこそは成りにけれ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
それがある事情じじやうめに明言めいげんすること出來できず、さりとて主家しゆか大難だいなんらぬかほ打※うちすぎるにもしのびで、かくは縁起話えんぎばなし托言かこつけて、その出發しゆつぱつとゞめたのかもれぬ。とかたつた。
「おどろきました。火事と思うと、すぐにあの乱入者らんにゅうものつるぎの音でな。しかし、かくべつなこともなかったようで、まずおやかたにとっては、大難だいなん小難しょうなんでなによりともうすものです」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そもそも層雲そううんくずれの大難だいなんは、どんな名将でものがれることのできぬものでござりますが、その難をさけるには、まず夜のとりからのあいだに、四里四方けがれのない平野へでて
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
櫻木大佐さくらぎたいさはなところによると、このから丁度ちやうど八日やうかまへばんすなは吾等われらいぬ使者ししやおくつた其日そのひよるである。)猛犬稻妻まうけんいなづますうしよきづひ、みてかへつてたので、はじめて吾等われら大難だいなんわか