髮結かみゆひ)” の例文
新字:髪結
己がまゝ掻𢌞かきまは我儘わがまゝ氣儘きまゝ振舞ふるまひたりしが何時しか町内廻りの髮結かみゆひ清三郎と密通みつつうをなし内外うちそとの目を忍びて物見遊山に浪費ついえ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
それをへば紫蘇しそあぢがして、チユー/\ふうちに、だん/\たけのこかはあかそまつてるのもうれしいものでした。このおひなむら髮結かみゆひむすめでした。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
うなすつたの、隨分ずゐぶんながかつたわね」とつて時計とけいながめた。時計とけいはもう十ちかくであつた。其上そのうへきよもどりに髮結かみゆひところまはつてあたまこしらえるはずださうであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
尾籠びろうながら、わたしはハタと小用こようこまつた。辻便所つじべんじよなんにもない。家内かない才覺さいかくして、避難場ひなんばちかい、四谷よつや髮結かみゆひさんのもとをたよつて、ひとけ、けつゝ辿たどつてく。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
おつぎもしをらしく俯向うつむいた。島田しまだうたおつぎの頭髮かみかるいランプにひかつた。おつぎはとく勘次かんじゆるされて未明みめい鬼怒川きぬがはわたしえて朋輩同志ほうばいどうしとも髮結かみゆひもとつたのであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
としはゞ二十六、おくざきはなこづゑにしぼむころなれど、扮裝おつくりのよきと天然てんねんうつくしきと二つあはせて五つほどはわかられぬるとくせう、お子樣こさまなきゆゑ髮結かみゆひとめひしが、あらばいさゝか沈着おちつくべし
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ひな父親ちゝおや數衛かずゑつてむらでもきたないので評判ひやうばん髮結かみゆひですとは、まへにもおはなししていたとおもひます。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
長兵衞は見遣みやりなんぢまはりの髮結かみゆひならずや何故此所へ來り入らざる差出口さしでぐち過言くわごんなり長助の者を擲出たゝきだせと云ひければ長助は立掛たちかゝり清三郎が首筋くびすぢつかみておもて突出つきだ門口かどぐち材木ざいもく
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
小一時間こいちじかんつて、家内かない髮結かみゆひさんからかへつてた。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ひなのおとうさんは數衛かずゑといふで、をとこ髮結かみゆひでしたが、村中むらぢうで一ばんきたないといふ評判ひやうばんひとでした。そのきたな髮結かみゆひいへのおひなそだてられるとつて、とうさんはひと調戯からかはれたものです。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
存ぜざる段不埓ふらちなりなほほかに何ぞ心當りの事は之無これなきやと申されければ庄三郎何も是と申す程の儀御座なく候へども髮結かみゆひ清三郎と申す者常々つね/″\入浸いりびたり居しは心得難く候と申立るに大岡殿同心どうしん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)