高原こうげん)” の例文
枕辺まくらべ近く取り乱しあるは国々の詩集なり。その一つ開きしままに置かれ、西詩せいし「わが心高原こうげんにあり」ちょう詩のところでてその中の
(新字新仮名) / 国木田独歩(著)
はなは、ちいさなくびをかしげて、おとこが、「くろ百合ゆりはなが、いていはしないか?」といったのをいて、高原こうげん景色けしきおもしました。
公園の花と毒蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)
こう言ってかれは目の前のあれた高原こうげんを指さした。そこにはやせこけたえにしだが、風のまにまに波のようにうねっていた。
そこはバードックきょう荘園しょうえんのある高原こうげんの静かな土地で、荘園ではたらく執事しつじが、じぶんの住居すまいに昼の食事にかえるとちゅう、ころされたのである。
その高原こうげんの一かくに立てば、群山ぐんざんをめぐる雲のうみに、いま、しずもうとしている太陽の金環きんかんが、ほとんど自分の視線しせんよりは、ズッと低目ひくめなところに見える。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
またたに濕地しつちや、たき湖沼こしよう附近ふきんには、特殊とくしゆ草木そうもくがしげり、高原こうげんにはそこにのみそだ植物しよくぶつがはえてゐます。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
此処ここはアイヌ語でニケウルルバクシナイと云うそうだ。平坦へいたん高原こうげんの意。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
とこなつのはなは、かつてあの高原こうげんにいたけれど、くろ百合ゆりはなたことがなかったので、脊伸せいのびをして、そのはなようとしました。
公園の花と毒蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「われら小勢ではあるが、高原こうげん信濃しなのの地勢をもって、冬までささえれば、四囲の情勢も変って来よう」
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ポート・バードックの町のうしろは、高原こうげんになっている。その遠くまでつづく高原には森もある。
高原こうげん高山こうざんのぼ途中とちゆうとりがわれ/\の足音あしおとおどろいて、ふいにつことがあります。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
おとこは、このむらへはいってくるのには、いつも、あちらのやまえて、しかも、いま時分じぶん高原こうげんとおってくるのだということをはなしました。
手風琴 (新字新仮名) / 小川未明(著)
陣馬じんば高原こうげんには、さまざまな植物の花が、つゆをふくんで黒々くろぐろねむっていた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こと信州しんしゆうあたりの高原こうげんをかっこうのこゑきながらあるいたり、濶葉樹林かつようじゆりんすゞしい林間りんかんのぼつたりするときには、とりによびかけられるようながしてこちらからもかっこうと返事へんじがしたいくらゐです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
めずらしく、そられたでありました。やまいただきから高原こうげんにかけて、みわたった大空おおぞらいろは、あおく、あおく、られたのです。
公園の花と毒蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)
この陣馬じんば高原こうげんとそことは、平地へいちにしてちょうど十町ほどの距離きょりがあった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして、トロッコのおとがしてレールのうえあつくなり、ぎんのようにしろひかかぜが、高原こうげんわたったのであります。毎日まいにちかれらはおなじようにはたらきました。
雪くる前の高原の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
やまへはいりかかった、あかが、今日きょう見収みおさめにとおもって、半分はんぶんかおして高原こうげんらすと、そこには、いつのまにか真紅まっかいろづいた、やまうるしや
手風琴 (新字新仮名) / 小川未明(著)
かれは、高原こうげん一人ひとりとおるのもそんなにさびしいとはおもわなかったのです。夕日ゆうひは、やましずみかかって、ほんのりとあまりのほのおゆきうえらしていました。
おおかみと人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
けれど、そのむらひとは、まちまでいくには、どうしてもその高原こうげんとおらなければならなかったのです。
おおかみと人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
秋風あきかぜきはじめると、高原こうげん別荘べっそうにきていたみやこひとたちは、あわただしくげるようにまちかえってゆきました。そのあたりには、もはや人影ひとかげえなかったのであります。
手風琴 (新字新仮名) / 小川未明(著)
つばめは、からだをつぼめるようにして、高原こうげんうえいてくる、かぜほうかっていましたが
北海の波にさらわれた蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)
やましずかで、ほととぎすが、昼間ひるまからいていました。かっこうも、うぐいすも、いていました。ふもとの高原こうげんには、あかいつつじのはなが、ほのおうみとなってひろがっていました。
僕が大きくなるまで (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのかなたには、これらの植物しょくぶつのふるさとがありました。ほしひかり高原こうげんそらにかがやいたように、ふけのそらにきらめき、さすがに、都会とかいにも、あきがきたのをおもわせて、かぜがひやひやとしました。
銀のペンセル (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのばんしろに、この高原こうげんには、ゆきったのであります。
雪くる前の高原の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)