雪路ゆきみち)” の例文
「馬鹿! 一升餅くらいで、一里からの雪路ゆきみち、吉田様まで、誰が行くものか。おれの欲しいの、餅なんかじゃねえ。銀のさかずきを欲しいのだ。」
手品 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
いな此処ここには持ちはべらねど、大王ちとの骨を惜まずして、この雪路ゆきみちを歩みたまはば、僕よき処へ東道あんないせん。怎麼いかに」トいへば。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
同一おなじ色なのが、何となく、戸棚のおおいに、ふわりと中だるみがしつつも続いて、峠の雪路ゆきみちのように、天井裏まで見上げさせる。
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
かれひと雪路ゆきみちうえって、茫然ぼんやりとしてともだちらが角力すもうったり、ゆきっているのをていたばかりです。
残された日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
岩と岩との雪路ゆきみちを進んで行くので馬も余程慣れては居るが充分注意しないと谷間へ放り込まれてしまう。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
しかし甚内は見返りもせず、さっさと雪路ゆきみちを急いで行きます。いつかさし始めた月の光に網代あじろかさほのめかせながら、……それぎりわたしは二年のあいだ、ずっと甚内を見ずにいるのです。
報恩記 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
いわば元日がんじつはこの地方ちほうでは、みんなないといってよいくらいで、まちほうはもうにぎやかでありました。幸作こうさく雪路ゆきみちあるいてまちへいきました。すると
金銀小判 (新字新仮名) / 小川未明(著)
はたけ二三枚、つい近い、前畷まえなわての夜の雪路ゆきみちを、狸が葬式を真似まねるように、陰々と火がともれて、人影のざわざわと通り過ぎたのは——真中まんなかに戸板をいていた。
神鷺之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そのは、いつになくいい天気てんきでありましたうえに、まだもまったくれないから、まらないでいそいでむらかえろうとおもって、いい気持きもちで雪路ゆきみちかえっていきました。
おおかみと人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
さいはひかぜく、雪路ゆきみちたと山中さんちうでも、までにはさむくない、みしめるにちからるだけ、かへつてあせするばかりであつたが、すそたもとこはばるやうに、ぞつとさむさがせまると、山々やま/\かげがさして
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
雪路ゆきみちさむさにふるえながらまちまでいってさけって、佐吉さきちは、また、みちをもどってまいりました。
酔っぱらい星 (新字新仮名) / 小川未明(著)
一々くわしいことをお話しするにも当らなかったんだけれど、こっちへ入って、はじめて、このあかるあかりを見ると、何だか雪路ゆきみちのことが夢のように思われたから、自分でもしっかり気を落着けるため
註文帳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と、太郎たろう雪路ゆきみちうえって、おそろしいけんまくをしてみせておつをおどしました。おつおおきなこえをあげてしました。ちょうどそこへ、おつったおじいさんがとおりかかったもので
雪の国と太郎 (新字新仮名) / 小川未明(著)
余り可懐なつかしさに、うっかり雪路ゆきみちのぼったわ。
第二菎蒻本 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)