質素しつそ)” の例文
ローウッドの生徒はどうしてあんなに靜かで質素しつそなのでせう。髮を耳の後へき上げて、長い前掛をして、麻布あさぬののポケットのついた着物を
たゞおい益々ます/\其教育事業そのけういくじげふたのしみ、その單純たんじゆん質素しつそ生活せいくわつたのしんでらるゝのをてはぼく今更いまさら崇高すうかうねんうたれたのです。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
その時分じぶん先生せんせい御質素ごしつそなものであつた。二十幾年にじふいくねんもつとわたしなぞは、いまもつて質素しつそである。だんは、勤儉きんけんだいして、(大久保おほくぼ)のいんしてもい。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
〔評〕南洲、顯職けんしよくに居り勳功くんこうふと雖、身極めて質素しつそなり。朝廷たまふ所の賞典しやうてん二千石は、こと/″\く私學校のつ。貧困ひんこんなる者あれば、のうかたぶけて之をすくふ。
するとまたそこへ質素しつそくろ服装ふくそうをつけた、断髪だんはつのぎよろりとしたをしたわかいRこく婦人ふじんがやつてて、やゝ熟達じゆくたつした日本語にほんごはなしかけた。もつと大抵たいてい婦人ふじんくろ服装ふくそうした断髪だんはつであつた。
微笑の渦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
調度は思ひのほか質素しつそで、唐紙を開けると、ムツと病床特有の臭ひがします。
銭形平次捕物控:311 鬼女 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
質素しつそ』をあいするといふことを、いろ/\なこととうさんにをしへてせてれたのも祖母おばあさんでした。祖母おばあさんはよくあつしほのおむすびをにははうにつゝみまして、とうさんにれました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
不断着ふだんぎまゝうちたと見えて、質素しつそ白地しろぢ浴衣ゆかたたもとから手帛はんけちを出しけた所であつた。代助は其姿そのすがた一目ひとめ見た時、運命が三千代の未来を切りいて、意地悪く自分の眼の前に持つてた様に感じた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
それが私にとつてどんなものになるかといふ豫感もなく、私の生活——善または惡に對しての私の精神——の裁決者が質素しつそなりをして其處に待つてゐるといふ警告も心になかつたのです。
一停車場あるステイシヨンで、かれとなりた、黒地くろぢ質素しつそ洋服やうふくて、半外套はんぐわいたうはおつて、鳥打とりうちかぶつた山林局さんりんきよく官吏くわんりともおもふ、せた陰氣いんきをとこが、薄暗うすぐらまどからかほして、とほりがかりの驛員えきゐんんでいた。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)