“蝉時雨”の読み方と例文
読み方割合
せみしぐれ100.0%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
それはたしかに、あるとしなつはじめやかたもり蝉時雨せみしぐれ早瀬はやせはしみずのように
つい一年前までは、この辺は墓原や成金壁なぞで埋められていて、夏なぞはせんだんの樹の蝉時雨せみしぐれの風情があるという、かなり淋しいところであった。
終ると、一房へ入って、ごろりと眠った。一刻、軍馬もしずかに、蝉時雨せみしぐれの声のみがつつんだ。食と眠りが、秀吉の戦備であった。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そうすると、きっと蝉時雨せみしぐれの降る植物園の森の裏手の古びたペンキ塗りの洋館がほんとうに夢のように記憶に浮かんで来る。
二十四年前 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
椰子の葉を叩くスコールの如く、麺麭パンの樹に鳴く蝉時雨せみしぐれの如く、環礁の外に荒れ狂う怒濤の如く、ありとあらゆる罵詈雑言ばりぞうごんが夫の上に降り注いだ。
南島譚:02 夫婦 (新字新仮名) / 中島敦(著)
まして蝉時雨せみしぐれというような言葉で表現されている林間のセミの競演の如きは夢のように美しい夏の贈物だと思う。
蝉の美と造型 (新字新仮名) / 高村光太郎(著)
蝉時雨せみしぐれは、一しきりさかりになって山のみどりるるかと思われるやかましさ、その上、あいにくと風がはたと途絶えてしまったので周囲を密閉した苫船の暑さは蒸されるようです。
鯉魚 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
「油坊主」「蝉時雨せみしぐれ」——などというような綽名あだなさえ、彼にはあったということであるが、しかし彼の饒舌じょうぜつは、もちろん天性にもあったろうけれども職掌からも来ているらしかった。
十二神貝十郎手柄話 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)