珠玉しゆぎよく)” の例文
金銀きんぎん珠玉しゆぎよくたくみきはめ、喬木けうぼく高樓かうろう家々かゝきづき、花林曲池くわりんきよくち戸々こゝ穿うがつ。さるほどに桃李たうりなつみどりにして竹柏ちくはくふゆあをく、きりかんばしくかぜかをる。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
やくざ者の半三は多分、後の五兩の代りにお信の珠玉しゆぎよくのやうな肉體を要求した事でせう。
草色くさいろ薔薇ばらの花、海の色の薔薇ばらの花、ああうみのあやしい妖女シレエヌほぞ草色くさいろ薔薇ばらの花、波に漂ふ不思議な珠玉しゆぎよく、指が一寸ちつとさはると、おまへは唯の水になつてしまふ、僞善ぎぜんの花よ、無言むごんの花よ。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
あの白壁の中にどんなやはらかい、どんなに美しい、見ただけで胸がわくわくするやうな、珍しい反物や珠玉しゆぎよくしまつてあるだらうか、それが一一手に取つて見えるやうにも感ぜられるのであつた。
夜烏 (新字旧仮名) / 平出修(著)
またはじゆんなる珠玉しゆぎよくの如きわがさうの眼が
因陀羅網いんだらもう珠玉しゆぎよくに照りかへして
智恵子抄 (新字旧仮名) / 高村光太郎(著)
なみ珠玉しゆぎよくちりばめ、白銀しろがねくも浮彫うきぼりよそほひ、緑金りよくきん象嵌ぞうがん好木奇樹かうぼくきじゆ姿すがたらして、粧壁彩巌しやうへきさいがんきざんだのが、一である。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
紫水晶色アメチストいろ薔薇ばらの花、曉方あけがたの星、司教しけうのやうな優しさ、紫水晶色アメチストいろ薔薇ばらの花、信心深い柔かな胸の上におまへは寢てゐる、おまへは瑪利亞樣マリヤさまに捧げた寶石だ、噫寶藏はうざう珠玉しゆぎよく僞善ぎぜんの花よ、無言むごんの花よ。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
したまたたなありて金銀きんぎん珠玉しゆぎよくれり。西にしばうには漆器しつきあり。蒔繪まきゑあらたなるもののごとし。さてそのきたばうにこそ、たまかざりたるひつぎありけれ。うち一人いちにん玉女ぎよくぢよあり。けるがごとし。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)