“敏捷”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
びんしょう68.7%
すばしこ8.3%
びんせふ6.7%
すばや4.8%
すばし2.0%
はしっこ1.6%
はしこ1.2%
すばしっ0.8%
すばしっこ0.8%
てきぱき0.8%
はや0.8%
すばしこく0.4%
すばしつこ0.4%
はしこい0.4%
はしっ0.4%
はしっこい0.4%
びんしやう0.4%
びんしよう0.4%
びんせう0.4%
スマート0.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
じっさい動物はうらやましい。私は、敏捷びんしょうに枝から枝へ、金網から地上へ跳びまわっている猿が羨望せんぼうに堪えなかった。実に元気な動物だ。
動物園の一夜 (新字新仮名) / 平林初之輔(著)
お吉は小作りなキリリとした顏立の女で、二人の田舍娘には見た事もない程立居振舞が敏捷すばしこい。黒繻子の半襟をかけた唐棧たうざんの袷を着てゐた。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
おつぎは勘次かんじ敏捷びんせふあざむくにはこれだけのふか注意ちういはらはなければならなかつた。それもまれなことでかずかならひとつにかぎられてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
敏捷すばやい、お転婆なのが、すっと幹をかけて枝に登った。、松の中に蛤が、明く真珠を振向ける、と一時ひとしきり、一時、雨の如く松葉がそそぐ。
浮舟 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
あたかも私の友人の家で純粋セッター種のが生れたので、或る時セッター種の深い長い艶々つやつやした天鵞絨ビロードよりも美くしい毛並けなみと、性質が怜悧りこう敏捷すばしこく
二葉亭余談 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
今開いとる産婆学校も、生徒は三四人しか居らんので、内実は堕胎専門に違いないと睨んどるんじゃが、姉歯の奴トテモ敏捷はしっこくて、頭が良過ぎて手におえん。
空を飛ぶパラソル (新字新仮名) / 夢野久作(著)
ルバシュカが晝食の折階下へ降りた間を見計つて、彼は、編輯室に鼠のやうにする/\と走つて行つて、敏捷はしこくルバシュカのバットの吸さしを盜んだ。
崖の下 (旧字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
ヘンリイ・ウイリアムズは、背丈せたけの高い、小綺麗ぎれいな紳士だった。敏捷すばしっこく動く眼と、ロマンティックな顔の所有主だったとある。
浴槽の花嫁 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
見ろ、あれで力のあることが大したものなんだ、身体のこなしの敏捷すばしっこいことと言ったら木鼠きねずみのようなもので、槍をつかわせては日本一だ
大菩薩峠:06 間の山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
アンドレイ、エヒミチは院長ゐんちやうとして其職そのしよくいたのちかゝ亂脈らんみやくたいして、はたしてこれ如何樣いかやう所置しよちしたらう、敏捷てきぱき院内ゐんない秩序ちつじよ改革かいかくしたらうか。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
流石に商人あきうどは目が敏捷はやかつた。絵は売る為めに註文したので、画家ゑかきに会つた為に売値を崩すやうな事があつても詰らなかつた。
この獣のやうなむすめ吩附いひつけて火をけさせるのだから、重右衛門と言ふ事が解つて居ても、それを捕縛するといふ事は出来ず、さればと言つて、娘つ子は敏捷すばしこくつて、捕へる事は猶々なほ/\出来ず
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
「それが、彼奴きやつが実行するのなら、無論見付けない事は無いだすが、彼奴の手下にあまが一人居やして、そいつが馬鹿に敏捷すばしつこくつて、丸で電光いなづまか何ぞのやうで、とても村の者の手には乗らねえだ」
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
その大股にノッシノッシと歩く又野の右側から、チョコチョコといて来る小柄な男は、油差しの戸塚という青年で、敏捷はしこいらしい眼に鉄縁てつぶちの近眼鏡をかけている。
オンチ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
三十少し出たくらいの、色の蒼白い、敏捷はしっこそうな目をした小柄の男で、給仕から仕上げたのだということを、お庄は後で聞いた。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
此間このあいだから学校へ通っている。乃公は作文と習字が上手になりたい。先生は乃公を敏捷はしっこいといって褒めた。勉強すれば大臣になれるかも知れないと言ったが、当にはならない。
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
何時いつでもだい一にその運動塲うんどうじやうけてくのはかれだ、その身體しんたい敏捷びんしやううごこととどんないたにもいたかほをせぬことと、それから記臆力きおくりよくつよく、規則ルールなどはおぼえてしまうので
そこで、敏捷びんしような女には違無い、自然と高利アイスの呼吸を呑込んで、後には手の足りん時には禿の代理として、何処どこへでも出掛けるやうになつたのは益す驚くべきものだらう。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
くべきときためにのみうまれてかへる苅株かりかぶかへし/\はたらいて人々ひと/″\周圍しうゐから足下あしもとからせまつて敏捷びんせううごかせ/\とうながしてまぬ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
はいって来たのは小間使とはいいながら、軽妙な敏捷スマートさなぞの少しもない、どこか鈍重とも評したいほど田舎染みて、口の重そうな縮れ髪の女であった。
グリュックスブルグ王室異聞 (新字新仮名) / 橘外男(著)