うつ)” の例文
秀ちやんは、余り評判がいゝのですつかり悦んでしまつて、妙な手振をして、盛んにおどりました。観る者は手をうつてはやしたてました。
泣き笑ひ (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
家主あるじ壮夫わかもの三五人をともなひ来りて光る物をうつに石なり、皆もつてくわいとし石を竹林に捨つ、その石夜毎よごとに光りあり、村人おそれて夜行ものなし。
『ほんとに、さうでしたねえ』とだれ合槌あひづちうつれた、とおもふと大違おほちがひ眞中まんなか義母おつかさんいましもしたむい蒲鉾かまぼこいでらるゝところであつた。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
うつのみなりかゝる處へ引續いて南町奉行大岡越前守殿出馬あり今此車坂下の四ツ辻をとほかゝられし處流石さすがに町奉行の威權ゐけんあれば町方の者先へたち往來わうらい
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
其れからと云ふもの、昨日迄の無情の世の中とはうつかはつて、たしかに希望のある楽しき我が身と生れ替つたのです、——そして日曜日が誠に待ち遠くて
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
譫言うわごとの様な意味のないことをブツブツと呟いて見たり、色々狂気めいた仕草をして、それでも、やっと又枕につきましたが、今度は盛んに寝返りをうつのです。
屋根裏の散歩者 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
うつわらはるゝはずなんなみだ化粧つくりがはげてはどくなりうし乘換のりかへるうまきはなし内々ない/\ることならんを
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
みづうつつきうばはんとする山猿やまざるよ、無芸むげい無能むのうしよくもたれ総身そうみ智恵ちゑまはりかぬるをとこよ、よつうをもとくさうつへびをどろ狼狽うろたへものよ、白粉おしろいせて成仏じやうぶつせんことねが艶治郎ゑんぢらう
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
重畳ちょうじょうの幸福と人のうらやむにも似ず、何故か始終浮立ぬようにおくらしなさるのに不審をうつものさえ多く、それのみか、御寵愛ごちょうあいを重ねられる殿にさえろくろく笑顔をお作りなさるのを見上た人もないとか
忘れ形見 (新字新仮名) / 若松賤子(著)
して二百八十八銀星ぎんのほしうつたる鐵棒てつのぼう
鬼桃太郎 (旧字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
石をうつ狐守る夜の砧かな
俳人蕪村 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
家主あるじ壮夫わかもの三五人をともなひ来りて光る物をうつに石なり、皆もつてくわいとし石を竹林に捨つ、その石夜毎よごとに光りあり、村人おそれて夜行ものなし。
こめのろくれんと三郎兵衞の人形ひとがたこしらへ是へくぎうつて或夜三郎兵衞が裏口うらぐちよりしのび入り居間ゐまえんの下にうづめ置是で遺恨ゐこん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
たてに受ると見えしが無慘むざんや女は一聲きやつとさけびしまゝに切下げれば虚空こくうつかんでのたうつひまに雲助又もぼう追取おつとり上臺がひざを横さまにはらへば俯伏うつふしに倒るゝ所を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)