引合ひきあは)” の例文
かつ面白おもしろ人物じんぶつであるから交際かうさいして見給みたまへとふのでありました、これからわたしまた山田やまだ石橋いしばしとを引合ひきあはせて、桃園とうゑんむすんだかたちです
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
黒繻子くろじゆすえりのかゝつたしま小袖こそでに、ちつとすきれのあるばかり、空色そらいろきぬのおなじえりのかゝつた筒袖こひぐちを、おびえないくらゐ引合ひきあはせて、ほつそりとました。
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
晶子はレエニ夫人に日本の扇や友禅いうぜんを捧げた。夫人もまた有名な詩人である。氏は夫人が近年病気がちである事を話して、日晶子を招待せうだいして夫人に引合ひきあはさうと云はれた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
申者かな伯父夫婦は相果あひはてあとも知れざる由家主いへぬししかおぼえずこれうたがひの一つ又うつせみが實の親なる者越後と申事なり只今たゞいま汝に引合ひきあはする者ありと井戸源次郎を呼出よびいだされ縁側えんがはに控へるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
するとまくの切れ目に、あに入口いりぐちかへつてて、代助一寸ちよつといと云ひながら、代助を其金縁きんぶちの男の席へ連れてつて、愚弟だと紹介した。それから代助には、是が神戸の高木さんだと云つて引合ひきあはした。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
うへつて、雨戸あまど引合ひきあはせのうへはうを、ガタ/\うごかしてたが、きさうにもない。
星あかり (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
彌次六に引合ひきあは種々いろ/\内談ないだんに及びぬ爰に諏訪明神の社人しやにん諏訪右門すはうもんとて年齡としいまだ十三歳なれど器量きりやう拔群ばつくんすぐれし者有り此度遠藤屋へ珍客ちんきやくの見えしと聞より早速さつそく彌次六方へ來り委細ゐさい
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
おくの間へ連行つれゆき女房へも引合ひきあはせ此人はもと國元にての久々馴染なれば今宵は奧座敷にてはなしを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
うまし、かるたくわいいそわかむねは、駒下駄こまげた撒水まきみづすべる。こひうたおもふにつけ、夕暮ゆふぐれ線路せんろさへ丸木橋まるきばし心地こゝちやすらむ。まつらす電車でんしやかぜに、春着はるぎそで引合ひきあはごころ風情ふぜいなり。
婦人十一題 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
なかはさまれたのは、弱々よわ/\と、くびしろい、かみい、中年増ちうどしまおもをんなで、りやうかたがげつそりせて、えり引合ひきあはせたそでかげが——せたむねさう乳房ちぶさまでとほるか、と薄暗うすぐらく、すそをかけて
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)