左迄さまで)” の例文
左迄さまで恐るゝにも足らぬぢやないか、して労働者などグヅ/\言ふなら、構まはずに棄てて置け、直ぐ食へなくなつて、先方むかうから降参して来をらう
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
吾等われらまへつて、武村兵曹たけむらへいそうわたくしとのかほながめたが、左迄さまでおどろいろがない、目禮もくれいをもつてかたはら倚子ゐすこしけ、鼻髯びぜんひねつてしづかに此方こなた向直むきなをつた。
妾と馬とは殆ど世界を通じて殉死の先駆者であるが、これに次いでは妻であった。しかも古代には老人を冷遇する習俗が濃く、殺老は左迄さまでに珍らしい事ではなかった。
本朝変態葬礼史 (新字新仮名) / 中山太郎(著)
かれつめたい火鉢ひばちはひなかほそ線香せんかうくゆらして、をしへられたとほ坐蒲團ざぶとんうへ半跏はんかんだ。ひるのうちは左迄さまでとはおもはなかつたへやが、ちてからきふさむくなつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
第一は云う迄もなく伝説中の奇蹟と同じ意味に於ける奇蹟が、信仰にらずして科学的実験に依って行われたと云う事である。然し之れは左迄さまでに驚くき現象ではない。
女人訓戒 (新字新仮名) / 太宰治(著)
僕等の興味は左迄さまで惹きそうにもないが、多少面白いと思うのは
愛書癖 (新字新仮名) / 辰野隆(著)
近世きんせいでは、いぬ使命しめいといふこと左迄さまで珍奇ちんきことではないが、それとこれとは餘程よほど塲合ばあひちがつてるので、二名にめい水兵すいへいあやぶみ、武村兵曹たけむらへいそううでこまぬいたまゝじつ稻妻いなづまおもてながめた。
ひとたび見地を変れば新らしい名を発見するのは左迄さまで困難でない。
高浜虚子著『鶏頭』序 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
をりふし鵞鳥がてうのやうなこゑうたうた調しらべは左迄さまで妙手じやうずともおもはれぬのに、うた當人たうにん非常ひじやう得色とくしよくで、やがて彈奏だんそうをはると小鼻こばなうごめかし、孔雀くじやくのやうにもすそひるがへしてせきかへつた。