人気じんき)” の例文
旧字:人氣
俗界ぞくかいける小説せうせつ勢力せいりよくくのごとだいなればしたがつ小説家せうせつかすなはいま所謂いはゆる文学者ぶんがくしやのチヤホヤせらるゝは人気じんき役者やくしやものかづならず。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
人いまだ生まれざれば、元気のうちにあり。すでに死するや、また元気に帰る。元気は荒忽こうこつとして、人気じんきはそのうちにあり。
迷信と宗教 (新字新仮名) / 井上円了(著)
日蓮上人、為兼卿ためかねきやう、遊女初君はつきみとう古跡こせきもたづねばやとおもひしに、越後に入りてのち気運きうんじゆんうしなひ、としやゝけんしてこくねだん日々にあがり人気じんきおだやかならず。
あんなのが人気じんきにあうのサ。まア僕らの学術上で分析すれば。ゴマカシュム百分の七十に。オペッカリュム百分の三十という人物だ。アハハハハ。
藪の鶯 (新字新仮名) / 三宅花圃(著)
父はお世辞のない人ですから、こんな土地の人気じんきには合いません。その気性をみ込んで何かと面倒を見て下さる人たちを、お礼心れいごころに招いたのでしょう。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
十一月十五日、きょうは七五三の祝い日だと云うのに、江戸城の本丸から火事が出て、本丸と二の丸が焼ける。こんな始末で世間の人気じんきは甚だ穏かでありません。
半七捕物帳:67 薄雲の碁盤 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
元々人気じんきあらい土地で、かつて子路自身も孔子に従ってこの地で暴民に襲われたことがある。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
それは仕方が無いとあきらめるから、お前は何もないで宜いから唯横町の組だといふ名で、威張つてさへくれると豪気がうぎ人気じんきがつくからね、己れはこんな無学漢わからずやだのにお前はものが出来るからね
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「まいどおおけに」「どうぞごひいきに」夫婦がかりで薄気味うすきみわるいほどサーヴィスをよくしたが、人気じんきが悪いのか新店のためか、その日は十五人客が来ただけで、それもほとんど替刃ばかり
夫婦善哉 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
「それは本当ですか。どうしてそんなに人気じんきが悪いのでしょう」
山椒大夫 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
「それじゃ、村の百姓達の人情、人気じんきはどうでしょう?」
この辺の人気じんきは荒し海苔のりを干す
六百句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
此故このゆゑ当世たうせい文学者ぶんがくしやくち俗物ぞくぶつ斥罵せきばする事すこぶはなはだしけれど、人気じんきまへ枉屈わうくつして其奴隷どれいとなるはすこしもめづらしからず。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
日蓮上人、為兼卿ためかねきやう、遊女初君はつきみとう古跡こせきもたづねばやとおもひしに、越後に入りてのち気運きうんじゆんうしなひ、としやゝけんしてこくねだん日々にあがり人気じんきおだやかならず。
江戸の人気じんきがそんなふうになったのも、つまりは江戸のほろびる前兆かも知れません。
さりながら人気じんき奴隷どれいとなるも畢竟ひつきやう俗物ぞくぶつ済度さいどといふ殊勝しゆしようらしきおくがあればあなが無用むようばゝるにあらず、かへつ中々なか/\大事だいじけつして等閑なほざりにしがたし。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
「なに、ここらは比較的にひまな方です。土地の人気じんきが一体におだやかですから、盗伐などという問題もめったに起こりません。ただ時々に山窩さんかが桐の木を盗むぐらいのことです。」
探偵夜話 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
はだかなる所以ゆゑん人気じんきにて堂内のねつすることもゆるがごとくなるゆゑ也。願望ぐわんまうによりては一里二里の所より正月三日の雪中寒気はだへいるがごときをもいとはず、はしらのごとき氷柱つらゝ裸身はだかみ脊負せおひて堂押にきたるもあり。
この頃の京の町は人気じんきが穏かでないので、日が暮れるとちまたに斬取りの強盗が横行する。その噂におびやかされて、まだ宵ながら往来は途絶えて、戸を閉てた家々に燈火あかりのかげも洩れなかった。
小坂部姫 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
はだかなる所以ゆゑん人気じんきにて堂内のねつすることもゆるがごとくなるゆゑ也。願望ぐわんまうによりては一里二里の所より正月三日の雪中寒気はだへいるがごときをもいとはず、はしらのごとき氷柱つらゝ裸身はだかみ脊負せおひて堂押にきたるもあり。
だが、そんなおかしい話ばかりでなく、いろいろのうるさいこともありますよ。なにしろ異人ばかりでなく、日本でも諸国からいろいろの人間が寄りあつまって来ていますからね。どうも人気じんきが殺伐で、喧嘩を
半七捕物帳:40 異人の首 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)