工場新聞こうじょうしんぶん
「タッちゃん、なに読んでるの?」 これも読書組の、トシが傍へよってきて、のぞきこんだ。馴れた臭気だけれど、ムッとめまいするような煙草の匂がした。 「いやよ」 タツは、慌てて読んでたものをかくした。うすッぺらな、ガリ版ずりの「赤煉瓦」というの …