黒子くろこ)” の例文
しかしその敵の廻し者も、火災をおこすまでの考えはなかったのかも知れなかった。鬼火を捨てた黒子くろこは、新之助が可愛がっていた正直者である。
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
歌舞伎芝居に出て來る黒子くろこと云ふ風體の人間が、それこそ誇張なしに百人も二百人もひしひしのしかかつて來たのだ。
自分の変態心理的経験 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
黒子くろこを着た助手などはほとんどただぼやけた陰影ぐらいにしか見えないのである。
生ける人形 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
頭から足の先まで黒装束の黒子くろこが、長い竿の先につけた火の玉を、忠信の動くにつれて、移動させていた。
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)