黄葉もみぢば)” の例文
大使阿倍継麿あべのつぎまろが、「あしひきの山下やましたひかる黄葉もみぢばの散りのまがひは今日にもあるかも」(巻十五・三七〇〇)、副使大伴三中みなか
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
ただあたりは若葉の明るい山で、私の上に一めんに黄葉もみぢばが浴びせられるやうに散つてゐないのがちよつと興を殺ぐ。
黒髪山 (旧字旧仮名) / 堀辰雄(著)
黄葉もみぢばの陰に歌ふか
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
黄葉もみぢばの過ぎにし子等とたづさはり遊びし磯を見れば悲しも」(巻九・一七九六)、「古に妹と吾が見しぬばたまの黒牛潟くろうしがたを見ればさぶしも」(同・一七九八)
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
深き林の黄葉もみぢば
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
この歌の次に、「秋山に落つる黄葉もみぢばしましくはな散りみだれそいもがあたり見む」(巻二・一三七)というのがある。これも客観的よりも、心の調子で歌っている。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
即ち茲では、サブシとカナシと一つ処に用ゐられてゐる。なほ、巻九の紀伊国にて作歌四首の中、(一七九六)には『黄葉もみぢばの過ぎにし子等と携はり遊びし磯を見れば悲裳カナシモ
『さびし』の伝統 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)