鳴声なくこえ)” の例文
旧字:鳴聲
いつも島田か丸髷まるまげにしか結っていないお雪の姿と、溝の汚さと、蚊の鳴声なくこえとはわたくしの感覚を著しく刺戟しげきし、三四十年むかしに消え去った過去の幻影を再現させてくれるのである。
濹東綺譚 (新字新仮名) / 永井荷風(著)