鮮紅からくれない)” の例文
のみならず、会心の男が出来て、これはと思うその胸へ、グザとやいばを描いて刺す時、膚を当てると、鮮紅からくれないの露を絞って、生血いきちしずく滴点したたると言います。
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
羽二重のくれないなるに、緋で渦巻を絞ったお千世のその長襦袢のしぼりが濃いので、乳の下、鳩尾みずおち、窪みに陰のすあたり、鮮紅からくれないに血汐が染むように見えた——俎に出刃を控えて
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
俎板をポンと渡すと、目の下一尺の鮮紅からくれないそりを打って飜然ひらりと乗る。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)