髭剃ひげそ)” の例文
髪苅かみかり、髭剃ひげそり、此れならば大丈夫と鏡を見れば、南無三、頭は仏蘭西ふらんす流とやらひたひのあたりだけ長く後短うしろみじかにつまれて、まんまと都風みやこふうになりすましたれど
燕尾服着初めの記 (新字旧仮名) / 徳冨蘆花(著)
午後から、半蔵は宿のかみさんに自分の出先を断わって置いて、柳原の方にある床屋をさして髭剃ひげそりに出かけた。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
散髪が終って、台の背が倒され、髭剃ひげそりが始まる。彼はすすけた天井をにらみながら、じっと辛抱していた。彼は床屋がきらいだ。一定時間拘束こうそくされるのが、いやなのである。
幻化 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
「菊! とっつあん、これがら町さ行って、髭剃ひげそって来っかんな。」
駈落 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)