高粱コウリャン)” の例文
これはまた高粱コウリャン畑に榴散弾でもぶち撒くように、パラパラペラペラと、よくその舌のまわることまわること、一人で二時間立てつづけの、早口の
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
家の土間には土竈どべっついが築いてあるので、僕たちはそのかまどの下に高粱コウリャンの枯枝を焚いて唐もろこしをあぶった。
青蛙堂鬼談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
第一軍の兵士は高粱コウリャンを喰ひ第二軍の兵士は佳肉に飽く。これ地理のしからしむる所なり。第一軍附の新聞記者は粱稈りょうかんに坐し第二軍附の新聞記者は石牀せきしょうに眠る。これ事情の然らしむる所なり。
従軍紀事 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
土間の隅に積んである高粱コウリャンを折りくべて、僕たちは霜を恐れるきりぎりすのようにかまどの前にあつまった。
青蛙堂鬼談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
他の一方には土間に高粱コウリャンを敷きて臥床に当てたり。同業某先づ牀上に陣取らんといふ。われいなみて従はず終に高粱の上をわれらの居処と定めぬ。けだし石牀の上人をるること六、七人に過ぎず。
従軍紀事 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
幸いに大抵の民家には大きいかめが一つ二つは据えてあるので、その甕を畑のなかへ持ち出して、高粱コウリャンを焚いて湯を沸かした。満洲の空は高い、月は鏡のように澄んでいる。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
南門外は一面の畑で、馬も隠るるばかりの高粱コウリャンが、俯しつ仰ぎつ秋風に乱れている。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)