駃騠けってい)” の例文
漢の鄒陽の上書中に、燕人蘇秦が他邦から入りて燕にしょうたるをにくみ讒せしも燕王聞き入れず、更に秦を重んじ駃騠けっていを食わせたとある。
橋本に騾馬の講義を聞くと、まず騾と駃騠けっていの区別から始めるので、真率しんそつな頭脳をただいたずらに混乱させるばかりだから、黙ってくらのない裸姿を眺めていた。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
匈奴きょうどと呼ばれている、我々の先祖はあの有名な夏后かこう氏なのだ。我々の生活は自然で自由だ。水草を追って牧畜をする。馬や牛や羊や※駝らくだや、驢※ろや駃騠けってい騊駼とうと騨※てんけいや、こういう物を牧畜する。
沙漠の美姫 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
想うに、『史記』匈奴列伝に唐虞より、以上かんつがた山戎さんじゅう等ありて北蛮におり、畜牧に随って転移す、その畜の多きところは馬牛羊、その奇畜はすなわち駱駝と驢と騾と駃騠けってい騊駼とうと騨騱てんけいととある。
これは牡馬が牝騾に生ませた子で、牡馬と牝驉ひんきょあいたる駃騠けってい(上出の通り燕王が蘇秦に食わせた物)と等しく至極の美味と見える。これらのほかに霊薬を馬より取る事道書に見えぬようだ。