香取秀真かとりほづま)” の例文
今日けふ香取秀真かとりほづま氏の所にゐたら、茶釜のふた置きを三つ見せてくれた。小さな鉄の五徳ごとくのやうな物である。それが三つとも形が違ふ。
雑筆 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
これは日本へ帰った後、香取秀真かとりほづま氏にひやかされた事だが、骨董を買うには支那へ行くより、東京日本橋仲通りを徘徊した方が好さそうである。
上海游記 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
香取秀真かとりほづま氏の話によると、加納夏雄かなふなつをは生きてゐた時に、百円の月給を取つてゐた由。当時百円の月給取と云へば、勿論人にうらやまれる身分だつたのに相違ない。
点心 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
香取秀真かとりほづま 香取先生は通称「お隣の先生」なり。先生の鋳金家ちうきんかにして、根岸ねぎし派の歌よみたることはことわる必要もあらざるべし。僕は先生と隣り住みたる為、形の美しさを学びたり。
田端人 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
庭木に烏瓜からすうりの下つたのは鋳物師いもじ香取秀真かとりほづまの家。
続野人生計事 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)