飾窓ウインド)” の例文
ある時は飾窓ウインドを覗き乍ら寧ろ往来の邪魔物のやうにノロノロと歩いてみたり、又或時は素敵な敏捷さで人波をグングン追抜いてみたり
群集の人 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
すばらしい出来のもので、南京路ナンキンろ飾窓ウインドに出ているのを有名なアフリカ探検家ドルセット侯爵夫人が上海土産シャンハイみやげとして買って持っていったことを、わしは今でも憶えている。
顔は、プラタナスの落葉の吹きつける百貨店の飾窓ウインドに、春の先駆を着て片手を上げている茶褐色の衣裳人形のように、どこまでも人工的な印象だった。眉は、細い鉛筆の一線だった。
踊る地平線:10 長靴の春 (新字新仮名) / 谷譲次(著)
そのとき彼は、大きな飾窓ウインドの前を通りかかった。そしてそこに並べてある時事写真の一つに眼を止めた。「ける一宮大将いちのみやたいしょう」とあって、太い四角な黒枠に入っているいかめしい正装の将軍の写真だった。
火葬国風景 (新字新仮名) / 海野十三(著)