顎紐あごひも)” の例文
気がついてみると、演壇の脇、つまり湯屋の番頭の出入りするところに、巡査が三人来て立っていた。三人とも帽子の顎紐あごひもをかけ、手には白い手袋をはめていた。
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
豆大福まめだいふくを売るおばあさんや、焼鳥屋の店が出て、顎紐あごひもをかけたお巡りさんが整理にあたっている。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
そう思いながら、まだ決まらず歩いていると、交番のところにも巡査が二三人立っていて、驚いたことには顎紐あごひもをかけている。途中から引ッ返えすことはまずかったが、仕方なかった。
党生活者 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
「帰れ」顎紐あごひもが号令する——
死ぬる迄土地を守るのだ (新字新仮名) / 今村恒夫(著)
ッ! 着剣つけけんをしているではないか! そして帽子の顎紐あごひもをかけている!
蟹工船 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)