青草あおぐさ)” の例文
一面に青草あおぐさで、これに松のみどりがかさなって、唯今頃ただいまごろすみれ、夏は常夏とこなつ、秋ははぎ真個まこと幽翠ゆうすいところと行らしって御覧ごろうじろ。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
六十年前 Louisルイ-Philippeフィリップ 王政時代の巴里の市民が狭苦しい都会の城壁を越えて郊外の森陰を散歩し青草あおぐさの上で食事をするさまをば滑稽なる誇張の筆致を
夏の町 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
巴里の人たちは今でも日曜日には家族を引連れて郊外の青草あおぐさの上で葡萄酒を飲む。しかしわれわれの新しき時代は絵のような美しい伝統を破棄するの急務に追われているばかりである。
夏の町 (新字新仮名) / 永井荷風(著)