青二才あおにさい)” の例文
「アハハ……。」老博士は力なく笑って、「わたしも同様です。あの青二才あおにさいの盗賊のために、一週間というもの、不眠症にかかっておるのですからな。」
怪人二十面相 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
青二才あおにさいの分際で師の批評などおこがましいと腹が立ち、また、これを言わせているのは畢竟ひっきょう顔淵への嫉妬だとは知りながら、それでも子路はこの言葉の中に莫迦ばかにしきれないものを感じた。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
自分に都合つごうのいい時だけは生死を共にするって云うような顔をして、自分に都合が悪くなって来ると、偉そうな言訳を並べたてて、……このざまだ。清原。そりゃ、俺達はまだ青二才あおにさいの学生さ。
なよたけ (新字新仮名) / 加藤道夫(著)
ところが今度は小宮君が自身で枕元へすわって、自然も好いが人間の背景にある自然でなくっちゃとか何とか病人に向って古臭い説をきかけるので、余は小宮君をつらまえて御前は青二才あおにさいだとののしった。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)