露月ろげつ)” の例文
露月ろげつの句に「薬には狸なんどもよかるべく」というのがある。狸も食ってみなければ味がわからない。食えば何かの薬にはなるかもしれないのである。
俳諧瑣談 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
露月ろげつが『俳星』に出して居る文章などは一々に読まぬからよくはわからぬが、自分が今始めて元禄の俳書などを読んで今更事珍し気に吹聴ふいちょうするのはなほ感ずべき点があるとしても
病牀六尺 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
の侍、いかなる身元かと言うと、当時時めく名医、典薬左井黙庵てんやくさいもくあんの次子、不二之進ふじのしん、代々の医業を嫌って、菱川ひしかわ派の流れを汲んだ浮世絵ぶりに大名たいめいせ、雅号を露月ろげつと名乗って
艶容万年若衆 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
また石井露月ろげつ氏は、元々医者になる目的で、その学費を弁ずるために日本新聞社に入っていたのであるから、その後開業免許を得ると直に郷里の秋田県へ帰って、女米木めめきの山中で医業を開いて
鳴雪自叙伝 (新字新仮名) / 内藤鳴雪(著)
この猿楽町には子規居士も来るし飄亭ひょうてい、碧梧桐、露月ろげつ四方太しほうだなどの諸君もさかんに出入するし、その『ホトトギス』が漸く俳句界の一勢力になって来たので、私の仕事も相当に多忙になって来た。
漱石氏と私 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)