零陵れいりょう)” の例文
一同、その一沓音にふりかえって、誰かと見ると、零陵れいりょう泉陵せんりょうの産、黄蓋こうがい、字は公覆こうふくといって、いま呉の糧財奉行、すなわち大蔵大臣の人物だった。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
荊州のうち長沙ちょうさ零陵れいりょう、桂陽の三郡だけを呉へ還してくれる。それなら呉の面目も立ち、きんの妻子も助けられよう
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
湘江しょうこうの西、零陵れいりょう湖南省こなんしょう・零陵)から手をつけるのが順序でしょう。次に桂陽、武陵と取って、長沙ちょうさへ進攻するのが自然かと思います。要するに、兵の進路は流れる水です。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
武陵ぶりょうには太守金旋きんせんがあり、長沙ちょうさには韓玄かんげん、桂陽には趙範ちょうはん零陵れいりょうには劉度りゅうどなどが、おのおの地盤を占めております。この地方は総じて、魚米の運輸よろしく、地も中原に似て、肥沃ひよくです。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
玄徳の軍来る! ——の報は、たちまち零陵れいりょう震駭しんがいせしめた。戦革せんかくの世紀にあっては、どこの一郡一国であろうと、この世紀の外に安眠をむさぼっていることはできなかったのである。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)