雲海うんかい)” の例文
ただ涯しなく拡がった雲海うんかいのうえを、気球は風のまにまに漂流しつづけるのであった。そのほかに、生物の影は、なに一つとしてうつらぬ。
空中漂流一週間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
やはり灰白色の雲海うんかいだけである。雲の層に厚薄があるらしく、時々それがちぎれて、納豆なっとうの糸を引いたような切れ目から、丘や雑木林や畠や人家などが見える。しかしすぐ雲が来て、見えなくなる。
幻化 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)