雲切くもぎれ)” の例文
かどの柳のみどりから、黒駒くろこまの背へしずくが流れて、はや雲切くもぎれがして、その柳のこずえなどは薄雲の底に蒼空あおぞらが動いています。
薬草取 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そして朝からどんよりしていた空が午後はいよいよ暗くなって小雨が降り出し、晩景にはちょっと雲切くもぎれがして夕日が射す。不定な気象がそんな調子でぐずついている。
朝晩は、単衣ひとえに羽織をて、ちとまだぞくぞくして、悪い陽気だとばかり、言合って閉籠とじこもっていた処……その日は朝から雨があがって、昼頃には雲切くもぎれがして、どうやら晴れそうな空模様。
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)