雑談じょうだん)” の例文
旧字:雜談
しかし雑談じょうだん抜きでね、田川さん。面白い面白くないはさておいて、あれほど呑気のんきな生活は世界にまたとなかろうという奴をやったおぼえがあるんですよ。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
雑談じょうだんだ。雑談を真に受ける奴が、あるものか。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
岩から岸に渡した危ない板を踏みながら元の路へ引き返す時に、兄さんは「善男善女ぜんなんぜんにょ」という言葉を使いました。それが雑談じょうだん半分の形容詞でなく、全くそう思われたらしいのです。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
大笑たいしょうの奥には熱涙がひそんでいる。雑談じょうだんの底には啾々しゅうしゅうたる鬼哭きこくが聞える。
趣味の遺伝 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)