雌猫めねこ)” の例文
「立たうと坐らうと勝手だ。こんな貞女ていぢよを追ひ出して、あの雌猫めねこの化けたやうな女と一緒になる積りだらう。そんな野郎はもう親分でも子分でもねえ」
お婆さんのひざの上で長々とあくびをすると、それからつばをつけて顔を洗ひ、眉毛まゆげをなで、口ひげをしごき、しきりに雌猫めねこらしく、おめかしをしはじめました。
仔猫の裁判 (新字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
私の家には、祖母の代から飼いはじめたという三毛みけ雌猫めねこがおりました。可なりに大きな身体をしていましたが、この三毛を先妻はわが子のように可愛がりました。
猫と村正 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
「立とうと坐ろうと勝手だ。そんな貞女を追い出して、あの雌猫めねこの化けたような女と一緒になるつもりだろう。そんな野郎はもう親分でも子分でもねえ」
振り返ると梯子段の上には、雌猫めねこのようなお辰が、これも匕首あいくち逆手さかてに不気味な薄笑いを浮べて立っております。
振り返ると梯子段の上には、雌猫めねこの樣なお辰が、これも匕首あひくち逆手さかてに不氣味な薄笑ひを浮べて立つて居ります。
何だつて? あの雌猫めねこが殺された? いゝ氣味だね、明日まで生きて居りア、私が殺す積りだつたよ。あん畜生と一と晩いがみ合つたので、今日は氣色が惡くて仕樣がないから、店を
「馬鹿だな、その氣だから狐にも雌猫めねこにも化かされるんだ——それから何うした」
「弱つたのはお靜さんよ。あんの可愛らしいお神さんは江戸中探したつて二人とあるものか、お前さんには過ぎものだ。そんな雌猫めねこの化けたやうなあぶらぎつた女なんかと見換みかへちやばちが當るよ」
お篠はカッとなって、きおい立った雌猫めねこのように逆毛を立てました。
お篠はカツとなつて、きほひ立つた雌猫めねこのやうに逆毛さかげを立てました。