雄蕊ゆうずい)” の例文
代助はこごんで、花の中をのぞき込んだ。やがて、ひょろ長い雄蕊ゆうずいの頂きから、花粉を取って、雌蕊しずいの先へ持って来て、丹念に塗り付けた。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
六本の雄蕊ゆうずいがあって、おのおのが花蓋片かがいへんの前に立っており、長い花糸かしの先にはブラブラと動くやくがあって、たくさんな花粉を出している。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
十個の雄蕊ゆうずいを抱き合うようにして漏斗じょうごの鉢のように開いている。
不尽の高根 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
花茎かけいにはかならずその途中に狭長きょうちょうほうがほとんど対生たいせいしていており、花には緑色の五萼片がくへんと、色のある五花弁かべんと、五雄蕊ゆうずいと、一雌蕊しずいとがある。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
この花も同属のアヤメ、ハナショウブ、イチハツなどと同じく虫媒花ちゅうばいかで、昆虫により雄蕊ゆうずいの花粉が柱頭に伝えられる。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
グミの花は筒をなした萼から出来ていて、それに一花柱ある子房と四つの雄蕊ゆうずいとが副うて一個の花を組み立っている。
植物一日一題 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
春風に吹かれて細かい新葉が枝上に芽出つ、五月になるとその去年の旧枝上に花穂が出て淡紅色の細花が咲く、花中には雄蕊ゆうずいもあれば、子房をもった雌蕋もある。
植物一日一題 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
八、九月頃の候葉間から緑色のていを描き高い頂に多くの花が聚って繖形をなし、花は白色で香気を放ち、狭い六花蓋片がある。六雄蕊ゆうずい一子房があってその白色花柱の先端は紅紫色を呈する。
植物一日一題 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)