陶器師すえものし)” の例文
陶器師すえものしは返事をしなかった。ゆるゆると彼は寝そべった。右手を敷いて枕とし、左手を脇腹へ自然に置き、唇を閉じ眼をふさぎ、寂然せきぜんとして聞いていた。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
笠のうちで、苦笑して見ていた。彼は、先刻さっきからその軒つづきの陶器師すえものしの細工場の前に立ち、子供のように何事も忘れて、轆轤ろくろへらの仕事に見恍みとれていたのであった。
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
陶器師すえものしは土くれをもって、一の土偶を美しく、一の土偶を醜くつくらないであろうか?
出家とその弟子 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
「しばらくであったなあ」と云いながら、よろめくようにはいって来たのは、他ならぬ強盗陶器師すえものしであった。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
眠っている陶器師すえものしがどんなに大きく、そうして顫えている光明優婆塞が、どんなに小さく見えることだろう。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)