阿濃あこぎ)” の例文
「あの阿呆あほうをね。たれがまあ手をつけたんだか——もっとも、阿濃あこぎは次郎さんに、執心しゅうしんだったが、まさかあの人でもなかろうよ。」
偸盗 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「いつものとおり、男が二十三人。それにわたしと娘だけさ。阿濃あこぎは、あのからだだから、朱雀門すざくもんに待っていて、もらう事にしようよ。」
偸盗 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
阿濃あこぎは、窓を離れて、その下にうずくまりながら、結び燈台のうす暗いにそむいて、腹の中の子を慰めようと、細い声で歌をうたった。
偸盗 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)