閉塞とぢふさが)” の例文
確実たしかに、自分には力がある。う丑松は考へるのであつた。しかし其力は内部なかへ/\と閉塞とぢふさがつて了つて、いて出て行く道が解らない。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
わだの源と天の戸閉塞とぢふさがりて天よりの雨やみぬ。ここに於て水次第に地より退き百五十日を経てのち水減り、方舟はこぶねは七月に至り其月の十七日にアララテの山に止りぬ。
可愛い山 (新字新仮名) / 石川欣一(著)
誰が其を知らう。窓から首を出して飯山の空を眺めると、重く深く閉塞とぢふさがつた雪雲の色はうたゝ孤独な穢多の子の心をいたましめる。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
奈何いかんせん、きたくも哭くことの出来ない程、心は重く暗く閉塞とぢふさがつて了つたのである。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)