長者ちょうしゃ)” の例文
ところを生れ得て恭謙きょうけんの君子、盛徳の長者ちょうしゃであるかのごとく構えるのだから、当人の苦しいにかかわらずはたから見ると大分だいぶおかしいのである。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
今までおだやかに機嫌きげんよく話していた長者ちょうしゃから突然こう手厳てきびしくやりつけられようとは、敬太郎は夢にも思わなかった。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
何度となく彼と議論をした記憶のある私は、ついに彼のおこったり激したりする顔を見る事ができずにしまった。私はそれだけでも充分彼を敬愛にあたいする長者ちょうしゃとして認めていた。
硝子戸の中 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
同情のある恐喝きょうかつ手段は長者ちょうしゃの好んで年少に対して用いる遊戯である。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)