長春ちょうしゅん)” の例文
素足に尻端折しりはしょり手桶ておけを提げて表門の内にある木戸から茶の間の横を通り、平らな庭石のあるところへ出た。庭の垣根には長春ちょうしゅんが燃えるように紅い色の花を垂れている。
桜の実の熟する時 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
祐信すけのぶ長春ちょうしゅんを呼びいかして美しさ充分に写させ、そして日本一大々尽だいだいじんの嫁にして、あの雑綴つぎつぎの木綿着を綾羅りょうら錦繍きんしゅうえ、油気少きそゝけ髪にごく上々正真伽羅栴檀しょうじんきゃらせんだんの油つけさせ
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
長春ちょうしゅんとかにある博打場ばくちばの光景で、これはかつて馬賊の大将をしたというさる日本人の経営に係るものだが、そこへ行って見ると、何百人と集まる汚ない支那人が、折詰のようにぎっしり詰って
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)