“鉾杉”の読み方と例文
読み方割合
ほこすぎ100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
片側は土手、片側は鉾杉ほこすぎ小暗おぐらい林で、鳥の声もかすかである。御手洗みたらしの水の噴きあげる音が、ここまでかすかにひびいてくる。
顎十郎捕物帳:05 ねずみ (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
寒さに焦げた鉾杉ほこすぎや、松の木が、その山々の線を焦茶いろにいろどっているところへ、大和絵のような春霞が裾の方をぼかしている山のかさなりを見ていると
山の春 (新字新仮名) / 高村光太郎(著)
向いの寺の鉾杉ほこすぎに風が鳴り出して、まだ明りの漂うている部屋の中に何の物音もなかった。女は手鏡で顔のつくりをなおしかかると、二階あたりの階段をみしりみしりと上ってくるものがいた。
三階の家 (新字新仮名) / 室生犀星(著)