ちょうな)” の例文
ぎらぎらするまで硎ぎ澄ませしちょうなを縦にその柄にすげたる大工に取っての刀なれば、何かはたまらん避くる間足らず左の耳をぎ落され肩先少し切りかれしが
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
お延は網代組あじろぐみの竹垣の中程にあるその茅門かやもんを支えているちょうななぐりの柱と丸太のけたを見較べた。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
まして仕事にかかっては妻あることも忘れ果てのあることも忘れ果て、昨日きのうの我を念頭に浮べもせず明日あすの我を想いもなさず、ただ一ちょうなふりあげて木をるときは満身の力をそれに
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
ちょうなで片耳ぎ取るごときくだらぬことをがしょうや、わが腹立ちは木片こっぱの火のぱっと燃え立ちすぐ消ゆる、こらえも意地もなきようなることでは済まさじ承知せじ、今日の変事は今日の変事
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)