遺言状ゆゐごんじやう)” の例文
「二年前に亡くなつた大旦那樣が、遺言状ゆゐごんじやうをお書きになつて、お妹のお糸さんに、身上を半分差し上げることになつてをりました」
しかし彼の遺言状ゆゐごんじやうは生死を超越しない俗人よりも更に綿密だつたと云ふことである。尤も彼の遺族たちはこの「仙人」の遺言状を一々忠実には守らなかつたらしい。
仙人 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
生前せいぜんの日の遺言状ゆゐごんじやう秘密ひみつのごとくに刺草いらくさあひだに沈み
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
「お福さへ居なきや、俺は勝手だ。親父おやぢ遺言状ゆゐごんじやうが出ても、三千兩の身上しんしやうを受取るだけで、何の怖いこともない」
遺言状ゆゐごんじやうを作つて、私が死んだ後、甥の吉三郎と金次と、姪のお辰と、それに番頭の清六とお前が立ち會ひの上で見ることにして置き度い——とういふわけで
越前屋は數萬兩の大身代で、その跡取は當然問題になるべき筈ですが、遺言状ゆゐごんじやうを預つてゐる筈の番頭清六が殺され、支配人の吉三郎が大阪から歸らなくては、何が何やら見當も付きません。
父親の遺言状ゆゐごんじやうは寳屋が預つて居る。それには、お福とこの錦太郎を一緒にする約束が書いてある筈だ。萬一、二人が一緒にならない時は、三千兩の金は利息をつけて俺に返さなければならない。
申します、申します。皆んな申上げてしまひます。——多賀屋さんには數々のお世話になつて居るので、斷り切れなかつたのでございます。——仲屋さんの先代の遺言状ゆゐごんじやうは、すぐ此場で錦太郎さんにお渡し申します、——御勘辨を
これは別に、遺言状ゆゐごんじやうを書いて置く