遡上さかのぼ)” の例文
この意味において、コナン・ドイルは経典的で、遡上さかのぼってポーや、近頃アメリカで騒がれている、新人の作物も一と通りは知っていた方が宜しい。
銭形平次打明け話 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
河の流れをたどって行く鉛筆の尖端が平野から次第に谿谷けいこく遡上さかのぼって行くに随って温泉にぶつかり滝に行当りしているうちに幽邃ゆうすいな自然の幻影がおのずから眼前に展開されて行く。
(新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
「品川沖から、死骸が大川を遡上さかのぼるのは、どうも面白くないことだと申上げて下さい、ハイ、左様なら」
此処ここから天龍川を遡上さかのぼったものか、右へ秋葉山の近道を辿ったものか、それとも左へ気賀きがへ出たものか、暫らく考えて居ると、男の子が二三人、わかれ路のほとりで
江戸の火術 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
平次は八五郎をなだめながら、次第に川岸っぷちを遡上さかのぼって行きます。
平次は八五郎をなだめ乍ら、次第に川岸つぷちを遡上さかのぼつて行きます。
遡上さかのぼる——そんなづかしい言葉を、男の子が使うでしょうか。
江戸の火術 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
八五郎は定石通り事件を遡上さかのぼつて考へました。
「天龍を遡上さかのぼったよ」
江戸の火術 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)