遊冶郎いうやらう)” の例文
外には厳格を装ひたる武士道の勇者も、内は言ひ甲斐なき遊冶郎いうやらうにてありし。泰平と安逸とは人心を駆つて遊蕩に導くは古今歴史上の通弊なり。
中に一枚歌磨の自画像だと称して特に金紙きんしの装幀を施した絵をわざと高いところから降ろして観せてれたのが有触ありふれた遊冶郎いうやらうの絵であつたのは驚いた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
心も空に、吉原へ飛んで行く遊冶郎いうやらうの中に、たま/\諸行無常とか、色即是空しきそくぜくうとか言つた後生氣を出して、此乞食坊主の鐵鉢に、小錢を投り込んで行く人間も、まれにはあることでせう。
三枚橋辺にて高貴の内政たる異母姉に面したる時の感慨は女性らしき思想を一変して、あはれわれも女に生れいでたる上は、三千世界の遊冶郎いうやらうとろかし尽さんとの大勇猛を起さしめたり。