逓信省ていしんしょう)” の例文
それに叔父さんは、もと逓信省ていしんしょうにいて電信符号のことを、よく知っているから、いよいよ犯人は、叔父さんだと推定したのです。
紅色ダイヤ (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
これは逓信省ていしんしょうへ入った情報である。右新型爆弾の惨虐性につき、新聞論調は大いに攻撃するところがあった。
海野十三敗戦日記 (新字新仮名) / 海野十三(著)
事務員が使い古して棄てる筈のを備えつけるらしい。逓信省ていしんしょうは民衆を一人一人弘法こうぼうさまと心得ている。
親鳥子鳥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
また、四人の青年は、翌年一月、逓信省ていしんしょうの船舶職員試験に、みごときゅうだいして、運転士免状をとった。これだけでも無人島生活はむだではなかったと、私はうれしい。
無人島に生きる十六人 (新字新仮名) / 須川邦彦(著)
バラック建の逓信省ていしんしょうや農林省や中央会議所や印刷局やの前を通って又電車道に出ると同じくバラック建の大蔵省や内務省がある。総てこれ等のバラック建の諸官省は広野の中の馬小屋のようだ。
丸の内 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
その叔父さんはもと逓信省ていしんしょうの官吏でしたが、探偵小説が大好きで、年は五十になったばかりですけれど、退職して毎日探偵小説を読んでいるという変わりものです。
紅色ダイヤ (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
つと逓信省ていしんしょうが公衆電話にて行えるところで、近来は鉄道省も之を切符販売用に用い、専売局は煙草の自働販売器を認め、キャラメル、チョコレートの自働販売器あり
白銅貨の効用 (新字新仮名) / 海野十三佐野昌一(著)
セッセと働いて百円足らずにしかならなかった小室君よりもグッとえらい。逓信省ていしんしょうの局長まで行って、その後民間会社の重役を勤めた人だ。長い間には多くの後輩の面倒を見ている。
秀才養子鑑 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
宮仕えがいやにて昭和十三年逓信省ていしんしょうを去りし私として本令の施行は何等興味なし。
海野十三敗戦日記 (新字新仮名) / 海野十三(著)
仙台放送局の円本まるもと博士が発明したM式マイクロフォンが麒麟きりんのような聴覚をもち、逓信省ていしんしょうの青年技師利根川保とねがわたもつ君が設計したテレヴィジョン回転鏡が閻魔大王えんまだいおうのような視力を持っていたのだった。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)