迸発ほうはつ)” の例文
その講ずる所の迂濶うかつにして乾燥なるはもとより、二者の間において、情緒の感応し、同情の迸発ほうはつする甚だ難し。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
草鞋わらじで岩石をザクザクやりながら、手ずから火口壁の赭褐しゃかつ色なる大塊をつかむべきである、そこに地心の十万億土から迸発ほうはつした、赤焼のした、しかしながら今は凝固した
日本山岳景の特色 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
炎々烈々としてむに已まれぬ猛燄もうえんを噴き出し白光を迸発ほうはつさせているのだ。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
私はその秘密に触れておののきたかった。私は両性の触るるところ、抱擁するところそこにわれらの全身を麻痺せしめるほどの価値と意義とが金色の光をなして迸発ほうはつするに相違ないと思った。
愛と認識との出発 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
まっしぐらに梓川の谷に走りこんでいる、地心から迸発ほうはつさせた岩石の大堆朶だいたいだを元に還すために、傾け尽くされたような、断末魔の時節が、もう到来しているのではないかと思った。
谷より峰へ峰より谷へ (新字新仮名) / 小島烏水(著)
噴出したり迸発ほうはつしたりした結果、北アルプスの山形は、槍ヶ岳や鹿島鎗ヶ岳(ただし鹿島鎗ヶ岳は観方にもよるが)のような、孤剣空を削るような、尖鋭な峻峰もあるが、概して花崗岩は塊状を呈し
日本山岳景の特色 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
岩角より火花を迸発ほうはつする深山の景色を忍び居候。
雪の白峰 (新字新仮名) / 小島烏水(著)