輿丁よちょう)” の例文
そして翌日は、どうにか杉坂を越えたものの、三日月村ではもう輿丁よちょうの者も、輿のうちの御方も、まったく疲れはてていた。
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
みると、あじろ輿をすえたまわりに、派手やかな半武装の武者が三人、輿丁よちょうが四人、ひざまずいて待っていた。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
どの輿丁よちょうの兵もみなあえぎ喘ぎで、来るやいな、各〻の肩の輿を、身ぐるみ、ほうり出すように、どんと置いた。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
雀は輿こしを恐がッて、兼好が内へ身を入れかけたとき、輿の屋根に残っていた。それを見て、輿丁よちょうの者が捕まえかけると、ピラと逃げ、輿を上げかけると、また輿の上へ来て止まる。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
輿をになうのも輿丁よちょうではない。どれもさんざんに戦い疲れた兵どもである。日ごろは小指の血にすら色青ざめる女院にしてさえ、いつか兵の血まみれ姿にもさまでなお感じもなくなっていた。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
まして輿こしにな輿丁よちょうたちの足もとは容易でなかった。
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)