身請みう)” の例文
身請みうけをしてくれた旦那に死なれて、少しばかりの家財と共に、昔の姉分の時代を頼つて、此家へ轉げ込んだといふ女です。
もし四、五百両ぐらいで、そっと八橋の身請みうけができるものならば、いっそそうした方が無事かも知れないと考えた。
籠釣瓶 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
残念々々残念々々という字がいくつとなく眼にはいった。しかし身請みうけされて行ったところは書いてなかった。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
おのれの一人の愛情で包んでしまわなければならないということだが、それをするには、この女を身請みうけして、生涯を保証するということが第一の問題になっているけれど
大菩薩峠:19 小名路の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
比翼塚建てましょうにと、嘆いておったほど物分りのよいおやじ様じゃ。めでたく身請みうけが出来たら、また好物の菓子折など届けろよ。念のためじゃ、七五郎達送り届けい。——では京弥!
「それを本郷三丁目の薬種問屋の若主人、吾妻屋永左衛門が、千両箱を積んで身請みうけをし、自分の家へ引取って内儀の位に据えたのはツイ二た月前だ」
東雲しののめが病気で親許おやもとへ戻っているというのは嘘だ、身請みうけをされてしまったのだ、という暗示は、馬鹿でない限り合点がてんのゆかねばならぬことです。この絶望と、今までの自分の血迷いかげん。
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
土地の大尽だいじんを踏み台にして身請みうけをされて、そこから松蔵のところへ逃げ込んで、小一年も一緒に仲よく暮らしているうちに、男は詮議がだんだんむずかしくなって来たので、女にも因果をふくめて
半七捕物帳:31 張子の虎 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
この女といっしょになることができないのは初めからわかりきったことである。この女がある人に身請みうけされるなり、年季が満ちて故郷に帰ることができるなりするのをむしろ女のために祝している。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
「それを本郷三丁目の藥種問屋の若主人、吾妻屋永左衞門が、千兩箱を積んで身請みうけをし、自分の家へ引取つて内儀おかみの位に据ゑたのはツイ二た月前だ」
「兵馬さん、わたしは近いうちに身請みうけをされるかも知れませんよ」
大菩薩峠:19 小名路の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)