踏堪ふみこた)” の例文
あるひは君等の目から見たら、今こゝで我輩が退職するのは智慧ちゑの無い話だと思ふだらう。そりやあ我輩だつて、もう六ヶ月踏堪ふみこたへさへすれば、仮令たとへ僅少わづかでも恩給のさがる位は承知して居るさ。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
何処の城跡へ行つても、大抵は桑畠くはばたけ。士族といふ士族は皆な零落して了つた。今日迄踏堪ふみこたへて、どうにかかうにか遣つて来たものは、と言へば、役場へ出るとか、学校へ勤めるとか、それ位のものさ。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)